2015年9月12日土曜日

ゴンちゃんの思い出

本ブログの方で少し書いた子リスのゴンちゃんのこと。自分の記録として書いておきます。
えらいこっちゃ
残念な報告


9月6日月曜日、この日はレイバーデーという祝日で3連休の最終日でした。

午後、近所のスーパーに買い物に出かけた時のこと。スーパーまでの道は上下1車線で車はそれほど多くありません。いつも犬たちと散歩に行く公園の脇を通る道で、野生動物も頻繁に見かける場所です。それだけに、この道を運転する時には動物がいないか注意して走っています。

そうしたら前方の道路にリスの影。
「あ〜もう、こんな所通って轢かれたらどうするの。」とスピードを落としつつ、もう少し近くで見ると「えっ!ちっちゃい!しかもヨタヨタしてる!」

まっすぐ走ると確実に轢いてしまう位置なので、反対車線ギリギリに大きく迂回して、少し先の路肩に車を駐めました。車を降りて走り寄ると小さいリスの赤ちゃん。車道と歩道の段差を上ることさえできない様子です。

「あちゃー!お母さんとはぐれちゃったのかな。取り敢えず路上には放っておけないな。」
けれど、迷子のリスを見つけた時の大原則はお母さんに見つけてもらうようにすること。そこで道路脇の芝生の木陰に移動させました。

その時ガラケーしかなかったので、ボケた写真ですが、発見した時のゴンちゃん。


お母さん見つけてくれるかなあと思いながら、でもこんな所だとカラスやタカにも見つかってしまうんじゃないか。どうしようどうしようと、一番近い大きな樹の根元に置くことにしました。影になって、上からは発見しにくくなるかなと思って。

すぐにクーッと寝ちゃうゴンちゃん。眠いのかな、弱ってるのかなとドキドキ。


取り敢えず、この木陰に居てもらって買い物に行って帰りにまだここに居たら連れて帰ろうと決心。ものすごーく後ろ髪を引かれながら車に戻ってスーパーへ。

買い物しながらもリスの赤子のことばっかり考えて、何を買ってどう歩いたかあんまり覚えていません。そしてさっきの場所に戻ったら、居た!しかも寝てる!

決定。連れて帰る。えーっと、何か入れるもの、あ、これでいいかとかぶっていた帽子に入れて車の中へ。

帽子の中でもウツラウツラしていました。


家に着いたらオットがやや呆れ顔。「だって放っとけないでしょ!」と言ったら「う、うん。そりゃそーだ。」帽子を開いて「見る?」と言ったら「飛び出してきて噛んだりしない?」と思いっきり腰が引けていました。飛び出さないし噛まないよ!

暑い場所に居たので、何はともあれ水分補給だとペットボトルのキャップに水を入れて差し出してみたけれど飲まない。うーん。

自力で飲めないのかなと思って、ストローを使って下から落ちるようにして飲ませると小さい両手でストローをしっかり握って、小さい小さい舌を出してペロペロペロペロと飲んでくれました。

もーこの時の感激と言ったら!赤ちゃんの動物にミルクをあげるの、ずっと憧れだったんですよ。ミルクじゃなくて水だったけれど、ものすごく可愛くてものすごく嬉しかった。

ぐったりした感じだったのが、水を飲んだら明らかに元気な感じになってもぞもぞと歩き始めました。これは安全な場所を確保してやらなくてはと、長いこと使っていなかった布製の犬のクレートを出してきて、靴箱にジャージー布を敷いて寝床にして中に入れてやりました。

カボ種と小さく切ったリンゴ、お皿には水も入っています。

カボ種とリンゴと水を入れたお皿を置いてやると箱から出て、自力で水を飲みリンゴも舐めていたのですが、カボ種はまだ早すぎるようで手をつけませんでした。

リンゴも舐めるだけだったので、すりおろした方がいいのかなとすりおろしてストローで与えたら、水の時と同じようにストローをつかんでペロペロモシャモシャ食べてくれました。

お腹も落ち着いたようなので柔らかい布でふんわりと、だけどしっかりくるんで箱の中で休ませました。

さあ、その間にワイルドアニマルレスキューに連絡です。まずは前回に最初に電話した大きな団体に電話。そしたら「どれくらいの大きさか写メを送ってもらえますか。それで折り返し電話します。」とのこと。

休んでいたところを失礼して撮ったのがこの写真。かわいいなあ。


残念ながら、その団体ではこの子は小さすぎて看られる人がいないとのこと。そこで赤ちゃんリスを預かれる人をお二人教えてもらい(そのうちのお一人は前回お願いした方)
電話をしてみたのですが、あいにくお留守。運悪く三連休ですもんね、ボランティアの方だって色々とご用がありますもんね。
もう一人の方は電話はつながったものの、やはり出先でおうちは留守とのこと。しかも車で2時間以上かかる距離。おうちに戻るのは夜になるということでした。

仕方がないので、電話がつながった方に「これこれこういう状態の毛も生え揃い目も開いている赤ちゃんで、水とすりおろしリンゴを与えたら元気になった感じですが、明日まで待っても大丈夫でしょうか?」と質問したら「それなら明日でも大丈夫だと思う。」とのこと。他にもアドバイスを頂いて電話を切りました。

その後も何度か水を飲ませたり、スイカの小さい角切りをあげたりしました。スイカは両手に持ってチュウチュウ吸った後モグモグッとかじって、可愛かったなあ。

そぉっと抱っこすると小さい手で私の指をギュッとつかむんですよ。


食べたり飲んだりしたらすぐに寝てしまいます。疲れてるだろうからゆっくり寝なさいねと、あまり構わないようにしていました。

来客用のベッドルームのドアをしっかり閉めて、犬たちから隔離して、夜は私がその部屋で寝ました。

朝起きて、一番に「ゴンちゃん大丈夫かな?」と覗いたら布でくるんでいたはずなのに、布の上に出てしまって、しかも仰向けでヘソ天で寝ていました。野生動物なのに、そんなことでいいのか?そんなに安心してるのか?と思ったり「もしかして何か苦しいんだろうか?」と心配になったり。

でも目を覚ますとウンもチイもちゃんと出て(ぬるま湯で湿したコットンでチョンチョンと刺激してやりました。)またお水を飲んですりおろしリンゴも食べてくれました。

ストローで食べさせたんですが、お皿にちょっと残ったのを
「それも食べる!」という感じで自分でモシャモシャ食べに行ったところです。

「ゴンちゃん」と声をかけると顔をこっちに向けてくれて、もう本当に本当に可愛くて愛おしかった。離れるのが辛いなあと思っていました。

カリフォルニアでは、保護した野生動物は認可登録されたレスキューボランティアの方以外は48時間以上手元におくことは禁止されています。だから私がゴンちゃんを育てることは何にせよ無理なんですけれどね。

この日は前回、うちの庭の木から巣ごと落っこちたまだ毛も生えてないピンク色の赤ちゃんを届けた方と連絡がついたので「ゴンちゃんお別れだね。準備するから待っててね。」と声をかけて、移動用の箱を準備したり身支度をしたりしていたら......。

「さあゴンちゃん行こうか」とクレートを覗いた時に「あ」と思いました。
それまでの寝ているゴンちゃんとは何かが微妙に違っていた。

急いで手のひらに乗せると、ゴンちゃんの体温はもうなくなっていました。
眠っている時と同じ顔で眠っている時と同じ姿勢で、多分眠ったままスーッと天に昇っていったのだと思います。

自分の頭もスーッと何かが抜けてしまったようで、涙も出なかった。
手のひらで温めたら戻ってくれるかなと思ったけれど、無理だった。
ゴンちゃんをまた布でくるんで、寝ていた箱に入れて、レスキューの方に連絡を入れました。「多分お母さんと離れて時間が経ち過ぎていたか、もともと何か疾患があったかで、きっと私にも助けられなかったと思います。色々ケアしてくれてありがとう。」と言っていただきました。

ゴンちゃんはうちの裏手に埋葬しました。できるだけ深く掘らなくてはと心したけれど、ゴンちゃんの体はあまりに小さくて、深い穴もすぐに掘れてしまったのが悲しかった。



これは水を飲むゴンちゃん。手ぶれしてるけれど、だいじな思い出です。


あ、そうそう。ゴンちゃんは女の子で、推定生後5週くらいでした。あれから庭に来るリスたちを見ていると「今はすばしっこくて、ふてぶてしくて、小憎たらしいゴンゾウたちもみんなゴンちゃんみたいにノタノタした赤ちゃんだったんだなあ。」と感慨深く思います。
樹の上でドテッと寝ている母ちゃんリスに「あんたも無事に大きくなってよかったね。それって奇跡みたいなものなんよ。それから赤ちゃんは落としたりはぐれたりしないように、気ぃつけるんよ。」と声をかけました。

あの時こうしていれば、とあれこれ思う気持ちは今もあるけれど、それは私が背負っていくものだからもういいんです。ブログのコメントでいただいた「ゴンちゃんと過ごせた1日が人生の中にあったということが素晴らしいことだと思います。」というお言葉に「ああ、そうだ。あの1日は私の人生の宝物のひとつだわ。」と思えるようになりました。

ブログやTwitter、Facebookに皆さんからいただいた優しいお言葉を読んでいると、涙が堰を切ったように溢れてきました。犬たちにも心配させてしまったけれど、それもまただいじな時間だったのだと思います。

私があの世に行ったら、ゴンちゃんや去年のピンクのモニョモニョちゃん(この子は今はきっと元気で生意気なゴンゾウかあちゃんになっていると信じてる!)もちょっと顔を出してくれるのかな。だったらいいなあ、なんて考えています。